“稼ぐオフィス”は、
視点を先の顧客へ向ける、
“稼がないオフィス”は、
目先の商材に焦点を合わせる
「ねぇテラサキさん、オフィスへの招待会って言っても、そんなに何回も開催する必要がある?」スポット相談でよく質問されることです。
私のコンサルティングで提唱しているのは、「何度でも足を運びたくなるオフィスづくり」です。せっかく“稼ぐオフィス”をつくるなら、その場をフルに活用すべきだからです。
「営業するオフィス」として、様々な仕掛けを配して、顧客をヨビコミます。
いま売上げが伸び悩んでいるのは、景気動向のせいなのかもしれませんし、営業マンが客先をキチンと回っていないのかもしれません。
ただ、そんなことを疑うよりも、あなたの自慢のオフィスで、顧客の利益のために協働する社員達を見ている方がお互いに幸福です。
では、どんな仕掛けをして、顧客に期待させる事ができるでしょうか?
今日は、あなたの顧客があなたの会社に期待して、「また来たい」と思わせる仕掛けについて考慮してみましょう。
確かに招待会は、年に一度か二度開催するのが普通でしょう。招待会を開催する目的は、自社の新製品の発表や、取り組みなどを顧客に知っていただくことです。しかし、招待会を開催したからと言って、売上げがうなぎ登りにはなかなかいかないものです。
この状態にあなたは満足されているでしょうか?
顧客に「また来たいと思わせる」には、そのようにする仕掛けが必要です。
例えば、テーマパークに行ったことがあることでしょう。
千葉県浦安市にある施設では、リピーターが大勢います。自分の体験を振り返ってみても、「まあ、また家族を連れてきてあげたいな」と思わせる場所の一つです。
行く前日までは、「行ったら、あれとあれに乗って、あれを食べて・・・」と恋人や家族は期待に胸を膨らませます。
当日は、怒涛のように楽しい時間が過ぎていきます。そして、帰るときには、「また来たい」と思っています。こんなに家族が喜んでくれるなら、「また来たい」と思い、お金を準備します。
それは、自分自身がアトラクションそのものから楽しみを得たいわけではなく、連れて行く家族の喜びを目の当たりにすることから幸福感を得られるからです。
そうです、家族のためなのです。
同様にオフィスに置き換えて考えれば、顧客は、自社の便益そのものよりも、その先の自社の顧客に良かれと思うものにこそ興味を示し、それが見出せるなら、「また来たい」という動機付けが得られます。
そして、何度もあなたの会社へ赴き、「あそこに行けばうまくいく」という成功体験が重なることで、「また来たい」と思って貰えるようになります。
また、仕掛け自体は一つではなく、また変化していくものです。なんでも構わないので、試してみることが肝要です。
一般的な“稼がないオフィス”は、目の前の顧客に受けが良さそうだと思うことに心血を注ぎます。見栄えの良い内装に、設備にお金を注ぎ込みます。
社員のモチベーションアップや顧客との打ち合わせが、そのことで効率的になると勘違いしているのです。
そして、顧客を招待した時にも、「いいオフィスですね」と言ってもらいたいのです。
顧客の側からすれば、どうでもいいことで、この場になんども招待されても、「行けたら行きます」になる可能性が出てきて当然と言えます。自慢話を聞きに行くほど暇ではないのです。
一方“稼ぐオフィス”は、お金のかけどころが違います。顧客と共にその先の顧客が欲しがる商品を開発するための、企画、提案、試作をするのに適した場を提供します。
「創造の場、提案の場、商談の場」の機能を充実させて、前向きで、豊富なアイデアを実現させていきます。
一例として、自社の直接の顧客が卸売業だとしたら、その先の小売業の顧客へ、興味ある仕方で提案できるように共創します。
そして、「いつもと違う環境で企画を練ってみませんか」「うちのオフィスで一緒に考えましょう」と“ヨビコミ”ます。
「御社のユーザーのお困りごととして、商品陳列のスペースの問題はありませんか」と課題を提議して“ヒキコミ”、その解決方法を顧客と共に考えます。
招待日までに顧客を“マキコム”ストーリーを作成して、顧客の優先利益になる商談を共創し、提案書にまとめます。
物理的には、実験場とでもいうべき場を設けて、棚割の検証ができるように、実物大の模型を用意します。
「創造の場、提案の場、商談の場」では、商品陳列の棚を置き、POPを用意し、「自分が消費者だったら、こうして欲しいのにな」というアイデアを出し合います。実物を置いて、「ワイワイガヤガヤ」意見をぶつけます。更に、コピーライティングを考えます。
顧客も交えて、「どんな配置にしたら手に取りやすいのか、大人なら、子供向けなら・・・」と意見交換をします。
一般的なワークショップでは、付箋に言葉を書いて貼り出しますが、この方法はよりリアルで効果的になります。
タイミングを見計らいお茶を出しリラックスした雰囲気を演出し、自由闊達な意見交換をさせるのです
とにかく、その先の顧客が喜びそうな案を準備することです。
このようにすれば、顧客がエンドユーザーへの細やかな提案ができ、一緒に編み出した突破口を提案書の形にまとめる事ができます。顧客の側でも、自社の売上げに直結するプランを練る機会と捉えて、積極的に参加してくれます。
そうです、顧客をオフィスに何度も来てもらうことで積極性を引き出すことに焦点を絞ることが肝要なのです。
囲い込み戦略を立てたとき、顧客カルテとリマインダーの仕組みがあれば、定期的に繰り返すことができます。そこに数々の仕掛けをするならば、より多くを刈り取ることが可能になります。
そのようにすることで顧客が「また来たい」と思えるオフィスにすることが可能になるのです。
あなたは、顧客の方から近寄ってくるオフィスをつくりますか?
それとも、招待に応じてもらえないオフィスにしますか?