第5回<❝稼ぐオフィス❞の仕組みと仕掛け>

“稼ぐオフィス”には
「稼ぐ仕組みと仕掛け」があり、

“稼がないオフィス”には
「稼がない会議」がある

 第5回は<“稼ぐオフィス”の仕組みと仕掛け>です。

 あなたの会社では、オフィスに儲かる仕組みを構築して、稼ぐ仕掛けをしていますか?それとも数字必達のためと称する、「全社会議」「営業会議」「戦略会議」が頻繁に行われてますか?

 本屋さんをのぞくと、「~の仕組みで売上アップ」とか「集客率を上げるために~の仕掛けをする!」といったハウツー本が目につきます。

 普段何気なく使っている言葉ですが、改めて「仕組みとは何ぞや?」「仕組みと仕掛けってどう違うんだっけ?」と考えると迷ったりします。

 今回のコラムでオフィスに関する「稼ぐ仕組みと仕掛け」とはどういうものなのか、「城下町化オフィス」で“稼ぐオフィス”の仕組みと仕掛けをつくる考え方を考察します。

 一般的に、「仕組み」と言われるものは、何かを動かすための土台となるもののことです。つまり構造、骨組みのこと。

 城に例えれば、徳川家康のつくった、江戸城の「天守曲輪」のようなものです。

 本丸の中に大天守と小天守を櫓で接続した構造は、兵庫県の姫路城のように、大天守と小天守がひとつの完結した要塞を成すたとえ本丸が攻め落とされても、まだ「天守曲輪」で戦うことができた強固な設計でした。

 このように「天守曲輪」という仕組みは、城の防御力を高めましたが、本丸にもう一つ城を作る構造のため御殿は狭くなります。

 しかし、敵が攻め込んだ時に、本丸まで辿りつきにくくするために御殿の広さを犠牲にしても、守りの力を重視した城主の意図を読み取ることができます。

 「仕掛け」とは、その構造や骨組みを使って、思うような効果を出すための工夫をすることです。

 例えば、松本城の「石落とし、狭間」です。これは城によじ登ろうとする敵に城の底が抜けて石が落ちてくる、壁の隙間から鉄砲を撃てるという仕掛けで、意表を突くものでした。

 また姫路城の「螺旋式縄張り」は、攻め込んできた敵が、城を目指す道を間違えて遠回りさせるという仕掛けで、誘導作戦です。

 変わったもので、延岡城の「千人殺しの石垣」もあります。城の土台である石垣自体を崩壊させることで敵を潰す、「まさか石垣を崩すなんて!」という意外性を狙った逆転の発想の仕掛けです。

 城下町にも、都市防衛の工夫が随所に見られます。敵の侵攻を妨ぐために、地形を巧みに利用するとともに、堀、土塁や石垣を築き、要所には時として強固な城門を設けることもありました。

 城下に入ると道の両脇に家屋を隙間なく配置させることで城を見えにくくして、道を鍵形に曲げたり袋小路を設けるなどすることも仕掛けの一つです。

 これをオフィスに置き換えて考えます。

 まず、経営者が仕組みをとりいれます。

・優良顧客の囲い込み体制の仕組みが欲しい!
・社内外対話を活性化させる仕組みにしたい!
・自社内で商談力を上げる仕組みを構築したい!

 コンサルティングの中で社長が話される願望です。そのための仕組み(構造・骨組み)をテラサキから吸収して頂きます。そして、ひとつの“稼ぐセールスオフィス”の仕組みを選びます。これに思うような効果を出すための工夫をし、有効な仕掛けを打ち出します。

次にこの「~」の部分を社員たちに考えさせます。

(松本城のように)意表を突く~の仕掛け
(姫路城のように)誘導作戦による~の仕掛け
(延岡城のように)逆転の発想による~の仕掛け

 自分たちの意識、知識、外部からの情報を駆使して、大いに意見出しをします。そして、しっくりくる仕掛けを創り出させます。

・(訪問型から来客型への)逆転の発想による、
「顧客と自社でコラボするための、オープンスペース提供の仕掛け」
・誘導作戦による、
「優良顧客を囲い込むための、定期招待、プレミアムレター配信の仕掛け」
・(社内を見せることで)意表を突く、
「社内外対話を活性化させるための、縦横斜めオフィス内導線の仕掛け」

というふうに社員たちの意見を結集し組み立てます。

 これにふさわしい備品を揃え、オフィスにどのように配置するかを決めます。準備が整ったら、優良顧客をお迎えするのです。
 このように、会議やミーティングは、みんなの時間を有効活用して、御社独自の“稼ぐオフィス”を築くためにあるものです。

 これに対して“稼がないオフィス”には仕組みや仕掛けがなく、いつも社内会議に時間を費やしています。

 「全社会議」では会社の目標数字や達成した暁には分配をどうするか、社員たちの決意表明などをさせています。決意表明以外はただひたすら経営陣の考えを聞かされます。

 「営業会議」では、会議室で上座に経営陣が陣取り、社員たちは生徒のように座り、ホワイトボードやスクリーンに営業成績を映し出し、「現状はこうです、売上げアップするために、我が部では向こう何週間、○○攻撃をします」と部長が発表します。

 「そんなことで売上げがアップするのか?もっと売れる方法を考えろ!」と檄を飛ばされます。部下たちは、吊るしあげられた自分の長に悪いとは思いますが、直接自分が叱られていないことに安堵しています。

 そして1時間程度黙って我慢することにより、何となく、何も決定せずに会議は終わります。こんな会議が年間予定、月間予定、週間予定に何回も組み込まれています。

なんと無駄な時間の使い方でしょう!

 仕組みづくりはいわば「整形手術」して骨格を変えるものです。

 仕掛けは、整形後のメイクや着飾ることに例えられます。

 現在流行りの考えで、オフィスをマイナーチェンジして済むようなものではないのです。

 江戸時代はかつての戦乱の時代から、平和な時代に変化しました。家康は、それまでの徹底抗戦の城からシフトチェンジし、むだを省いたシンプルかつ合理的な城を築きます。

 城の構造に基準を設け、同一構造にすることで誰でも使いこなせるようにしたのです

 豊臣の築いた熊本城は、築城した者でなければ使いこなせなかったのですが、徳川の城は誰が配置されても十分活用できるものでした。

 「全社会議」は、全社員の持つ知恵を出させる場です。

 「営業会議」は、営業社員が外部で得た情報の共有の場です。

 オフィスは、これらを結集させ、売上げを向上させる仕掛けをして、顧客のための提案に加工する場です。

 このように、むだを省いたシンプルかつ合理的な会合で、誰でも使いこなせるように、自由に意見を言い合い、情報交換・変換・加工することで社員たちの考える、効果的な仕掛けを最大限引き出します

 そのために、優れた経営者による、稼ぐための仕組みが必要なのです。その時代に合った仕組みづくりをしようと考える賢い経営者なら、“稼ぐオフィス”への近道を専門家に相談するでしょう

 あなたの会社ではオフィスに儲かる仕組みを採り入れ、稼ぐ仕掛けをしていますか?