第3回<セールスオフィスに変革する>

“稼ぐオフィス”は
セールスオフィスの仕組みでまわり、

“稼がないオフィス”は
単なるきれいなオフィスで終る

 今回は、“稼ぐ営業オフィス”の核である、

「セールスオフィス」の話をします。

 この言葉を聞いてどのように思われますか?
・取引先にオフィスへ来てもらうの?
・うちの営業は外回りしてるけど、どうやってセールスするの?
・セールスオフィスってそもそもなに?

と疑問に思われることでしょう。

 それも当然です。このカタチのオフィスは、
世間で流行っている形態のものではないからです。

 世間で流行っている形態は、オフィス環境改善業界がお勧めする、“世の中の流行りに敏感”な、最先端オフィスです。

・優秀な人材獲得のための、
「働きたくなるオフィス」
・社員がイキイキ活動できる、
「コミュニケーションオフィス」
・知的生産性をアップする、
「クリエイティブオフィス」

 その他、働き方改革、女性活躍、LGBT、ワークシフト、多様性、健康経営、・・・に対応できる、様々な目的・コンセプトで、きれいなオフィスを作って満足しています。

 また彼らは、「御社の強みは何ですか?」から与件聴取を始めて、「御社のトップの方針や思いから、弊社のデザイナーが導き出した、御社のオフィスのコンセプトは、これこれです。」と担当者レベルで打ち出した提案で、他社の納入事例やオフィス情報誌のいいとこどりをして、最新設備かつ重装備で過剰な、美装化オフィスを提供します。

 以上のようなオフィスは、オフィス環境改善業界の営業マン時代数多く見てきました。

 最新テクノロジー、心理学、社会学、効率性、生産性、機能性・・・といった、一見すると働く人の快適性を追求した、「自社で働く人々」に焦点を当てたオフィスづくりです。

 ただこの中には「儲かるオフィス」づくりに重要な一つの要素がすっぽり抜け落ちているのです。それは何だと思われますか?

 それは、レイアウト変更や改装、移転に、多大な時間と費用をかけて作った見返りともいうべきもの、つまり、「数値化された費用対効果」です

 投資をするからにはリターンを得るのが当然です。
 しかし、ただきれいなオフィスづくりにおいてはリターンがあるのかないのかが曖昧です。

 私が皆様にお伝えしたいテーマは、「目的別のオフィス構築による“稼ぐ営業オフィス”」というものです。

 通常の業務に、たったひとつの仕組みを取り入れることで、プラスαの利益が生まれる、そんなオフィスづくりです

 オフィスのレイアウト変更や改装、移転を機に、投資に見合う費用対効果を実感するオフィスづくりがあっても良いでしょう。

 さて、どんな目的・コンセプトをもって進められたオフィスプロジェクトも、完成時には大概皆様喜んでくださいます。一応便利で新しい環境、きれいなオフィスが完成するからです。

これなら、
・社員のモチベーションがアップし
・社員がクリエイティブな仕事をし
・より効率的で生産的な変化が起きそう・・・期待は膨らみます。

 ハニームーン効果も手伝い、一番目のモチベーションアップはあるでしょう。
 でも二番目から先が見えません。何故だと思われますか?

 ここで私が指摘したいのは、「社員に、自律性や仕事の能力を上げることを、一律に求め過ぎているのが原因だから」ということです。

 そうではなく、社長が意図的に攻めの営業オフィスを創造して、その「仕組みの枠」で働く社員がやる気になれる環境を整えることこそ必要なのです

「働き方を改革させる」のではなく、働かせ方を改革する」のです。

 どうして世の経営者は、社員にクリエイティブや、効率的で生産的といった高度な仕事を求めるのでしょうか?

 それは、もっと本業で稼ぎ出したいからにほかなりません。「優秀な社員が育ち、彼らが自律的に利益を生み出して儲かるように???」

 では、こう自問してみてください。

「創業当時の私の志と同じように、社員に志を求めるのは理にかなっているだろうか?そのような社員が育っているとして、彼(彼女)らは自社にずっと仕え続けてくれるだろうか?」

 創業者には、だれにも負けない!強い意志があったはずです。考え、哲学、自社製品(サービス)を世に問う姿勢、何が何でも仕事をつかみ取って、売り上げをアップさせ、目標数字を必達させ利益を確保し、家族や社員を食わせなければという必死さといったものです。

 一介のサラリーマン社長にはわからない、創業社長独特の熱意です。この点からご理解いただけると思います。社員に自律性や仕事の能力を上げることを、一律に求めても応えてはくれないのです。

 応えてくれる優秀な社員であれば、給与アップを提示する他社への転職か、独立によるキャリアアップを求めるようになるのです。

 そうであれば、「会社の将来のためにクリエイティブに仕事をするのは経営者であり、その経営者の補佐として作業をこなしてくれるのが社員である」と考えた方が得策です。

 先程述べた、社員のモチベーションアップから先の見通しを立てるには、経営者であるあなたの明確なビジョンと目的、そして実現させるための仕組みづくりが必要なのです。

 そして、それをご自身で構築して、他社の勧める提案ではなく、ご自身の方針を専門業者にカタチにしてもらうようにするのです。

 私が提唱するオフィスは、「目的別のオフィス構築による“稼ぐ営業オフィス”」と申し上げました。オフィスの目的を再定義して、優良顧客や取引先を自社内に呼び込んで商談力を向上させるセールス型のカタチをつくり上げることです

 オフィス変革を掲げた時、社員の「働き方」に焦点を当てた快適性のあるオフィスづくりには、その先が見えないものです。

 ですからこの視点を変えて、外部中心のオフィスづくりを考えること。社員の快適性を第一に考えるのではなく、取引先の利益を第一に考えて、お互いに、より儲かる仕組みを採用するのです。その「仕組みの枠」で社員の「働かせ方」を変えるのです。

 外回りをして商談を獲得する営業マンにプラスして、稼ぐ機能が社内にも構築出来て、プラスαの利益が創出できるようになります。そうすることで、投資に見合う費用対効果が生まれることになるのです。

「セールスオフィス」をつくること。ただのきれいなオフィスで儲からないよりも、このカタチのオフィスで儲かるようになった方が、俄然、社員たちの意気が変わります。

 それこそ、クリエイティブな発想で良い変化が期待できるようになり、稼ぐ仕組みをまわしていく意欲が出ます。このような仕組みを取り入れることに関心のある、戦略的思考の経営者に、ぜひお考え戴きたいテーマです。

あなたが考える、「儲かるオフィス」とはどのようなカタチのものでしょうか?
あなたのオフィスでは、社員をやる気にさせる、セールスオフィスの仕組みがありますか?