“稼ぐオフィス”は、
顧客の課題から片づけて共創することで潤う、
“稼がないオフィス”は、
闇雲な飛び込み営業で奔走させて渇きを覚える
今回は<重要なオフィス機能とはなにか>を考察します。
機能とは「組織に成果を上げさせる働き」を言いますが、一般的なオフィス機能と“稼ぐ営業オフィス”の機能では異なっています。
一般的なオフィス機能では、受付は、来客に企業イメージを印象付けるためにあり、執務室は、“自社の”情報収集・加工の場ですし、会議室、応接室、ミーティングコーナーは、コミュニケーションの場となっています。これらは、デザインこそ異なりますが、どの会社でも、機能としては似たり寄ったりです。
その他、役員室・デシジョンルームといった経営戦略の場や、テストキッチン・キッティングルームなどの開発の場、パントリー・コピーコーナー、倉庫・一時ストックエリアといった共用の場があります。
では、一般と“稼ぐ営業オフィス”の機能のどこが異なるというのでしょう?
「いつ、どこで、いくらかけて、どの機能に重点を置くか」。あなたのオフィス戦略を効率よく実現するために、重要な機能のポイントを考察しましょう。
“稼ぐ営業オフィス”の機能は、あくまでもご招待するお客様向けにアレンジしますので、異なっていることが当然かもしれません。
受付は、来客をお迎えするためにあり、執務室は“顧客のための”情報収集・加工の場ですし、会議室、応接室は、つくるなら社内打ち合わせや金融機関等との接客用、ミーティングコーナーは「商談」の場となります。
特に必要なことは「お客様を迎え入れ商談をする場」になります。もちろん、商談をするための準備として、「情報収集・加工の場及びコミュニケーションの場」を執務エリアに設ける必要もあります。
私は常々、「これからのオフィス機能で備えなければならないもの」として、「ICT」と申し上げています。造語ですが、「一致して、コミュニケーションして、提案力を上げる」という意味です。
これは、社内に限ったことではなく、社外の人々(顧客や仕入れ先、利害関係人)といった「外部の視点」を積極的に取り込んで、「まだ気づいていない需要」、「して欲しかったサービス」、「組み合わせから生まれる新しい事業」といった、オフィス機能からお金を生み出す装置です。
“稼がないオフィス”は、売上げが落ちてくるとまず、「新規開拓」に熱をあげます。
価格なのか、提案力なのか、営業マンの資質なのかはわかりませんが、「今期に入ってから、競合に負けて顧客を数社失ってしまった」と嘆きます。
そして、さして敗因の分析もせずに、「よし、挽回するためには新規開拓だ!」と、若手の営業マンに発破をかけます。“自社の”製品・サービスのチラシやカタログ、汎用の提案書を作成させて、「とってこい!」と最前線に向かわせます。・・・
よくある営業会社の日常ですが、これは、営業マンにとっても、勝手にターゲットに設定された会社にとっても、喜ばしい事ではありません。頑張って通っても会ってもらえません。
来られた方も「この忙しい最中に時間泥棒!」と思います。出会いがこれでは、仮に良い商材を持っていても興味を示してもらえるどころか、嫌われるだけです。
なぜなら、これは、相手の都合を考えない一方通行だからです。まるで、のどの渇きを潤すために、水を求めて追い続ける蜃気楼のように、追いかければ追いかける程、逃げられてしまうのです。
“稼ぐオフィス”はこの点、真逆の考え方をします。
「あなたが興味を示しそうな話がありますが聞きに来ませんか?」というお誘いです。“顧客の”製品・サービスにフォーカスします。
相手の都合に割り込んで、無理やり聞かせるのではありません。
まず、社内整備をして、顧客を迎える準備をします。自社オフィスの機能を「ICT」化します。「一致して、コミュニケーションして、提案力を上げる」ために、社員の意識を変えることから始めます。そして、自社に招待します。
訪れた顧客を商談に巻き込み、意見を聴きながら、商談の精度を上げます。そこから生まれた「提案書」を「おみやげ」として持ち帰ってもらいます。その顧客が自社用に加工して、その先の顧客への「提案書」を提出できます。顧客の商談がまとまりやすくなります。
こうした提案によって、先に顧客に利益を得てもらい、自社のファンになってもらいます。顧客が潤えば、自社にとっての利益も増えます。他社への浮気を避けられます。こちらの提示価格が受け入れられやすくなります。
これらをまとめると、重要な機能のポイントとは、
「顧客との付加価値共創の場」という利他的な場をつくることと言えます。
そのようなオフィス機能にすれば「組織に成果を上げさせる働き」を果たすことができるのです。
日ごろから取引して下さる、ありがたい顧客のために、その会社が喜ぶ提案を編み出して、商談化するようにします。
新しい発想は、会議室からは生まれないことを知っているので、機能を十分活かした提案づくりをします。顧客が深耕したいと願っている、その先の顧客を調べ、「外部の視点」で提案を考えます。
「自分ならこうして欲しい」という観点ですので、顧客側が気づきもしなかった、新しい視野が広がります。そして、自社に招待して、相談しながら商談化を目指します。互いの意見を交換し、導き出した提案を、顧客はその先の顧客へ持っていけます。
このようにしていくうちに、顧客との信頼関係は深まり、ファンになってくれます。ファンになった顧客は、自社の顧客にも紹介したくなります。
こうなった時に初めて「新規開拓」へ切り替えます。その紹介された顧客の興味を調査して、「外部の視点」で提案する・・・と同じようにしていくのです。
これは決して自社の製品・サービスの売り込みではありません。見込み客にも受け入れてもらいやすい方法です。自社を整え、客を迎え入れ、共に創り出して、その先の提案をすること。このサイクルを回していくことで、「売り込まずして売れる」“稼ぐオフィス”の仕組みになるのです。
あなたは、顧客の課題を考えて付加価値を共に創造されますか?
それとも、闇雲な飛び込み営業で新規開拓に奔走されますか?