“稼ぐオフィス”は、
顧客との共創と課題抽出に適した場があり、
“稼がないオフィス”は、
表面上の問題解決をしたがる
今回は、<本質的な課題の見極め方>を考察します。
「テラサキさん、うちのオフィスを見回して改善点があったら教えてください」
オフィスを訪問するとよく、聞かれる質問です。
そんな時は、「ざっと拝見して言えることは、片付けと掃除をして清潔な環境にすることです」と答えるようにしています。
というのも、改善策なら、「整理整頓・清潔清掃」だからです。これを徹底するだけでいままでより格段に良くなります。
立派できれいな“稼がないオフィス”の推進者は、ただ表面上をみて、「ここを“改善”しましょう」と提案したがります。
そのようにしても根本的な問題解決には至りません。
発想自体が、今までの延長で考えられているため、画期的な変革は起こせないのです。その程度の“改善”で良いのなら、なにもお金をかけずに、「整理整頓・清潔清掃」を行うだけでよいのです。
ただ“稼ぐオフィス”にはなりません。
なぜなら、本質的な役割や機能を仕組みとして仕込んでいないからです。本当にオフィスを改善あるいは変革したいなら、きちんと現状を把握して課題を抽出し、本質的な課題とは何かを見極めなければなりません。
そしてその課題に取り組めるように、人の役割や機能をオフィスに仕込むのです。
物事の本質を突くことは、ビジネスにおいて肝要です。
デジタルエコノミー時代と言われる昨今、この変化を柔軟に乗り越えるには、使える知恵を見出し、適応力を培うことが、ますます重要になってきます。
また、自前主義で、なんでも囲い込んできた今までとは違い、組織外の資源も呼び込み、価値共創することも推奨されています。
そうはいっても、なかなか今までのやり方を変えることは出来ません。
ではどうしたら今までのやり方を変える事ができるでしょうか?
まず本質的な課題を見極めて、“改善”にとどまらず“変革”まで一気に行うことです。
そして、価値観を共有し、協働できるパートナーを自社に呼び込んで、価値を共創することです。
目に見える事実とは違い、見えない部分にこそ真実が隠されているものです。この見えない部分を見つけるには、内部だけではなく外部の視点が必要です。
見えない真実を見出すために必要なことは、人の話をよく聴き、洞察力を働かせて、その裏に隠れた真意を見抜き、識別力を働かせて理解し、経験と知識とを駆使して、使える知恵を導き出すことです。そして、先行き不透明なこの世界で、知恵を用いて適応し、経営目的を遂行することです。
知恵を用いて適応することを例えていうなら、登山コースを選択するようなものです。
「登頂すること」が目的です。頂上に至るコースはいくつもあります。最終到達地点に着くのであれば、どの道を選んでも良いのです。
本質的なことは、「どうやって登頂するか」だからです。いかに早く登頂できるかのスピードは重視しますが、どのコースを選択するかは関係ありません。
これには、「山を知る」ことが大切です。
「どうやって登頂するか」のコースの選択は、地理的なことも含めてその山の特長を理解し、経験と知識で登山の知恵を持つことが出来なければ行えません。登山の知恵を持つことが、「山を知る」ということです。
そのことで、本質的な課題である「どうやって登頂するか」が分かり、変わりやすい天候に対処しつつ目的に到達することができます。正に知恵を用いた適応力が求められる事柄です。
このように、まず本質的な課題を見極めることが大事なことなのです。
では、価値観を共有し、協働できるパートナーを自社に呼び込んで、価値を共創するためにはどうしたら良いでしょうか?
“稼ぐ営業オフィス”では、パートナーである優良顧客を招待します。
目的は、「相手の考えを知り、知恵を用いて、喜ぶ仕方で協働する」という仕事の本質です。
そして、互いの本質的な課題を抽出し、「互いの顧客の喜ぶ方法」など、価値観を共有し、パートナーにとって「欲しかった知恵」を準備して、商談を共創するための場を仕掛けています。
実にシンプルな、仕事の本質だけを追求しています。
本質的なことを追求すると、シンプルで美しいものに納まります。
400年前の城づくりは参考になります。
信州にある松本城を例に挙げます。松本城周辺には、美ヶ原、袴越山、乗鞍岳と立派な山々に囲まれています。そして何と言っても一番は、北アルプスの常念岳です。
記念撮影をする絶景ポイントとして、二の丸から本丸へ渡る橋の袂があります。ただその一点からのみ、素晴らしい借景が見れます。
晴れ渡った青い空と北アルプスの山々。その中で突出した常念岳、雪を頂いた北アルプス連峰を映す堀の水面、そして威風堂々とした松本城天守。一番の景色を計算して設計した構図も至ってシンプルです。
自然から切り取った枠にあるのは、「空・山・城・水」の4点のみです。
また、人間の創り出した機械と、神が創造された植物の構造を比較してみると明らかです。
機械を分解して部品を並べてみます。たくさんの部品で構成されています。これだけの部品がないと機能性が発揮できません。これに対して植物は、「根・茎・葉・花」のたった4点で構成されます。芸術的で美しい草花は、シンプルなのに機能的につくられているのです。
このように、本質的なことは、シンプルで美しいものなのです。
こういった美的センスを磨くことは、本物に触れることから生じます。本質を見抜く力を養うためには、本物をたくさん見聞きして、触れる機会を増やすことが大切です。
そのために、オフィスに本物を導入します。展示物や備品として触れることのできるものです。
社長室の収納庫に眠る、箱入りの、高価なのかどうか分からない壺ではなく、本物の絵画を鑑賞できるようにするとか、オフィスで工場用の機械を使えるようにするとか、とにかく本物に触れることができるようにするのです。
偽物・安物・陳腐なモノばかりを使用している日常から、美的センスは磨けません。
これらのものは、すぐに壊れたり、メンテナンスのし甲斐がなく、使用者にストレスを与えこそしますが、「使う喜び」を提供することはありません。
それでは豊かな気づきもないでしょう。それよりも、本物に触れることから得ることのできる楽しさや喜びから、美的センスと新たな発想も生まれるのです。
本物に触れることには、美的センスと新たな発想を生む利点があるのです。
その他、社外の視点で考える事も、本質的な課題を見極めるのに必要な要素です。
テラサキのコンサルティングの中に、「稼ぐための5K」、「アイデア出し3つのポイント」、「独自の強みづくり5つの視点」といったワークがありますが、実はこの視点のことを強調しています。
社外の視点で、見方を大きく変えてみると、課題が見えてきます。
本質的なことはなにかを問いながら、「社内外の知恵を導き出す場」としてのオフィスづくりをします。そして、パートナーを招待します。互いの本質的な課題を抽出し、価値観を共有します。
「商談を共創するための場」を設けた、「儲かる仕組み」のある最適空間です。
このようなオフィスが、外部を巻き込んだ見極め方を用いた、本質的な機能なのです。このやり方で、“改善”にとどまらず“変革”までを行うことによって、本質的な役割や機能を仕組みとして仕込んだ“稼ぐオフィス”になるのです。
あなたは、やり方を抜本的に変革して、“稼ぐオフィス”にしていますか?
そして、相手の立場で考慮する「儲かる仕組み」を仕込んだ、
「これこそ、わたしのオフィスだ!」と自慢できるオフィスにしていますか?