“稼ぐオフィス”は、
やるべきことに集中させる環境を整えている
“稼がないオフィス”は、
雑多な業務と使えない設備で溢れている
今回は<利益を増やすためにやるべきこと>です。
商売をするということは、商品を売って仕入金額を支払い、利益(粗利)を出すことです。更に販管費などの経費を差し引いた後、税金を引いて純利益を出すことです。
一般論として誰もが知っている引き算です。しかし決算書には現れないものも存在します。
それは、「人々の働き」です。
単なる数字のみを追いかけると、この部分を蔑にしてしまいかねません。決算書は一年ごとに締めるルールですから、そのことに文句があるわけではありません。
ただ、「人々の働き」というものは、単年では成果が出ないこともあるのは事実です。よく海外事業立ち上げの時の苦労話が、テレビや雑誌、本などで紹介されますが、初年度からうまく軌道に乗せられた例は稀で、大概3年から5年で開花して、努力が報われたと報じられています。
諦めずに挑戦し頑張った結果、良い成果を収めたところに感動があります。
あなたも、苦労の先にある報いを信じて努力し、待ち続ける話が好きですか?
テラサキは、他人の努力を否定したりしませんし、「努力が報われて良かったですね!」と心から思います。
しかし、自分はそんな努力と根性で成功を待ち続けるのは嫌なので、少しの労力で、楽しく稼げる仕組みを考案することに集中しています。
稼げない「ビジネスモデル」「ビジネスシステム」ではなく、稼ぐモデルやシステムを探求するために、異業種や別世界に視野を広げて研究しています。
利便性の高い方法を考える事は、企画力を養います。そして利益を増やすためには「人々の働き」が関係します。
“稼がないオフィス”には、この「人々の働き」を引き出すための装置がありません。その代わりに、業務を片付けるための雑事に溢れています。
これは、新しいことを考慮するときに、「不足しているので足す」と言うことから生じます。
本当は、「いらないものを削ぎ落すー引く」ことが大事であるのに、日常業務の延長線上で考えるために、どんどん足していって、いらない作業、道具や設備で溢れかえっています。
では、利益を増やすためにやるべきこととは、具体的にどんなことでしょうか?
パン屋での経験ですが、その店では定期的に新商品の開発を職人たちにさせていました。
定番商品を安定供給する日常業務のほかに、日頃の気づきや、発見をもとに商品化するのです。当番制になっていて、一人の職人が、日常業務の中で、今ある材料からつくり出すのです。
ある先輩が当番の時のことです。デニッシュ生地を利用して、のの字に成形して、油で揚げ、粉砂糖をまぶしたものでした。出来上がったパンをみんなで試食します。
果たして商品として採用されたでしょうか?
残念ながらボツでした。理由は至って単純で「しつこすぎる」でした。デニッシュ生地と言うのは、パイ生地のように、バターを何層にも折り込んだものです。
それを油で揚げて砂糖をまぶすのですから、しつこくない訳がありません。原材料費がかかることも原因でした。考えが浅く、商品化されないお蔵入りになりました。
このようなエピソードから数年後、幼い娘を連れて、東京ディズニーランドへ遊びに行った時です。売店で買ったチュロスを食べて「これだ!」と思いました。かつて先輩が考案した商品は、ヒット商品になって売れていました。
デニッシュ生地ではなく、ドーナツ生地の進化系でした。のの字ではなく棒状ですが、油で揚げています。砂糖をまぶしているところまでそっくりでした。これこそ先輩が商品化を目指していたものだったのです。
パン屋の話などして何が言いたいのかと申しますと、この例のように新商品開発も、もう少し工夫をすれば、商機を逃さずに完成できたということです。
一人の職人だけに任せず、皆の知識、知恵を結集して開発に取り組んでいたら、何年も前に似た商品が世に出ていたということです。パン屋ではドーナツも作っていたのですから。
名前もチュロスというものではないにしろ、元祖にはなっていたでしょう。折角良い案を持っていたのに、「人々の働き」を引き出すための装置がなかったので、売る機会を逃してしまったのです。
利益を増やすためにやるべきことが、新商品の開発というものであるならば、日常業務を削ってでも、開発に集中させるべきことが必要です。
そのためには、雑事からの解放だけでなく、今までにない原材料の調達や、試作品の品評会における、皆の意見や案をまとめ、考えを深くする機会創出など、儲かる近道の、やり方や仕組みを導入することです。
そしてこれらを、社長ご自身が決断して、切り捨てるものを決定します。やり方や仕組みを回し続けるために、社員たちが運用できるように、自ら行うことと、人にやってもらうことを明確に仕分けするのです。
また、「人々の働き」を最大限引き出すためには、ふさわしい環境も必要です。
食品であればテストキッチンですし、機械メーカーであれば、キッティングルームでしょうか。これも、ただ設置すれば良いわけではなく、商品開発・改良するために集中できる場でなければなりません。ここに最重要な仕組みをせずにどこに仕組むのでしょう。
そうです。利益を増やすために一番重要なことは、企画力を持った「人々の働き」を最大限活かして、仕組みが回り続けるように仕組むことなのです。
そのためにやるべきこととは、業務改善の解決策を決める前に、現況を正確に把握することです。
これからやろうとしている仕事に集中できるよう、それ以外のいらない事柄は何かという問題点を洗い出し、それら全てを一切やめることです。
良い企画はシンプルで、「捨てる力」も含まれるからです。そして、やるべきことに集中させる環境を整えて、社員たちがやるべきことを、当然のごとく日々行えるように仕向けることです。
これまで述べてきたように、やるべきことを決定するだけでも、コストを下げて利益を増やすことができます。
また、売れる商品をもっと売れるように改良することによっても販売数を伸ばし、利益を増やせます。
今回はパン屋の例で話を進めてきましたが、異業種であっても考え方は同じです。小麦粉やバターは原材料や部品に、ミキサーやパイローラーであれば、道具や機械設備に置き換えれば、結果として同じことになります。
このような仕組みをオフィスに取り入れて、やるべきことに集中させる環境を整えることで、企画力を持つ「人々の働き」を最大限活かした、“稼ぐオフィス”にすることができるのです。
あなたは「人々の働き」が利益向上のカギと考えますか?
やるべきことに集中させる仕組みをオフィスに仕組んでいますか?