第10回<お金を生み出すオフィスとはどのようなものか>

“稼ぐオフィス”は
将来利益をたたき出し、

“稼がないオフィス”は
将来不安を積み増していく

 第10回は<お金を生み出すオフィスとはどのようなものか>です。

 特に何も生み出すことのないオフィスという無形物から、お金を生み出す有形物へ変態させる方法とは何かを説明致します。

 お金を生み出すオフィスとはどのようなものでしょうか。

 それを実現するために必要なこととは何でしょうか。

 「城下町式オフィス化戦略」を策定するにあたって、経営者として何から手を付ける必要があるのでしょうか?

 この辺りに焦点を当てます。

 固定観念に縛られている人々は、「オフィスはただの金食い虫だ」と考えます。

 不動産仲介業の社長に話を伺っても、見込み客は大概、一人当たり2坪を従業員数に乗じて“必要”総坪数をはじき出して、物件を決めるそうです。その面積の前後近いところで物件を探すのです。

 現在入居しているビルの賃貸料よりも高いか安いか、いくらの差額で、どのくらいの期間で家賃を浮かせたり、向こう何年間の固定費として妥当か否かで経営判断しています。

 しかし、これがただの「金食い虫」ではなく、「金のなる木」であったらどうでしょう。

 オフィスの改修・移転を考慮するときの、経営判断に大きな違いが出ることは言うまでもないことです。

 改修・移転をするしないの判断をするときには、現状との比較をすることが必要ですが、「金のなる木」であれば、“商談に必要な分を含めた”総坪数をはじき出し、場所、設備、家賃などは、現状との比較のみならず、オフィスから生み出される将来利益も含めた計算で考慮できるからです。

 既往の外回り営業を抱えている会社は、経営層から経営目標を命じられた営業部長が、各営業部員へ数字を割り当てます。

 新人には低い目標、役職者やベテランには高い目標を宛がい、年間目標から月次計画へ落とし込みます。

 私自身も営業部長経験者ですから良くわかるのですが、一度目標を掲げると、その数値の近くに着地するものです。

 達成時期は早いか期末までかかるかはありますが、2億円の目標なら2億円、3億円なら3億円、5億円なら5億円の近似値に落ち着きます。

 部ではなく会社の目標として考えるときも、例えば最初から25億円目標にするなら25億円近辺になります。

 ここから数字が落ちることはあっても、上回ることはありません。あったとしたら棚ボタです。年間が締まると、また次の年の計画作成です。今年も売上を達成できるのかどうかと将来不安が募ります。“稼がないオフィス”では毎年このように繰り返します。

 では、“稼ぐ営業オフィス”の考え方とはどのようなものでしょう?

 ひとつは、売上目標を倍にして考えてみるということです。
 次年度の目標数字を倍の50億円として考えたらどうでしょうか?達成可能ですか?

 答えとしては、今までのやり方の延長線上で考えたら無理です。はっきり言えます。

 では不可能でしょうか?

 ー可能です。やり方を根底から変えることができるならば!
 25億円を売上げるやり方と50億円を売上げるやり方とは考え方がまるっきり違います。
 考え方を変え、やり方を根底から変えること、ここに仕組みで回す必要性が生じるのです

 外回りの営業マンの人数を倍にすれば、理屈上は売上げも2倍になることでしょう。でも増員分を養う給料と、オフィスを増床する必要があります。増えた固定費は継続します。とても現実的ではありません。

 そこで、プラスαの仕組みを導入するのです。オフィスに仕掛けをして、自社オフィスからも商談力を上げ、売上げるという発想です。

 もちろん簡単なことではありません。組織も変えなければなりませんし、経営者ご自身の意識から変えていただく必要があります。

 例えば、50人規模の会社があるとします。業種にもよりますが、仮に年間25億円売上げているとします。

 全社員平均で考えると、一人当たり年間売上げ5千万円です。
※実際は25名の営業マンで25億円の売上げですので、営業一人当たり年間売上げ1億円です。

 今までの延長線上で考えると、営業一人当たり年間2億円平均に引き上げる必要があります。

 彼らにそれができますか?

 研修などでスキルアップもさせて、応酬話法も万全で、時間も労力も効率化を図っています。これ以上、時間と労力、企画と提案を、彼らだけに押し付けて、一握りの優秀な営業マンに期待することで売上げを倍にまで持っていけるでしょうか?

 これを、今までの延長線上で考えずに、根底から変える、“稼ぐ営業オフィス”に仕組み化した場合、オフィスから生み出す売上げを積み増すことが可能になります。

 外回りの営業から得られる売上額以外に、プラスして自社オフィスに取引先を呼び込んで、商談する案件を創り出せばよいのです

 1千万円の商談が250案件あれば、それで25億円です。無茶だと思われますか?
 年間で250件です。月平均20件程度です。週5件程度の商談づくりは難しいですか?

 そして、この商談を確実に受注に結び付けることをオフィスに仕掛けます。

 これらを仕組化するメリットのひとつは、自社でコントロールできることです。

 外回りの営業マンは、出先で商談するとき、難題が発生すると持ち帰りが発生したり、持っている決裁権で判断できないことも起きて、なかなかクロージングできないことがあります。

 しかし、自社オフィスであれば、スケジュール調整や人員配置、クロージングへ向けた、説明も説得も各段に向上するのです。

この仕組みをオフィスに仕掛けるのが「城下町式オフィス化戦略」のメソッドなのです。

 このような“稼ぐ営業オフィス”を望む意欲的な経営者は自ら行動します。スピード感覚を持つ経営者は、最速で導入できるようにコンサルタントを使い、考え方と仕組みを仕入れます。

 「城下町の何を模倣し、オフィス機能の何と連動させ、本業の売上げをどうやって向上させるのか」というノウハウを、体系化しているのは専門家以外にいません

 そして、知恵ある経営者は、重要なオフィス戦略である「方針書」という、目に見えるカタチを創り出し、選抜した社員たちと戦術を練ります

 これに基づいたオフィス計画を、他の社員も交えて戦闘方法にまで落とし込みます。

 そのようにするなら、後はこれを形にしてくれる、不動産仲介会社や、オフィス環境改善業者に依頼して、実行するのみです。

 出来上がったオフィスには、自社独自の数々の仕掛けが散りばめられ、他社を巻き込んで商談し、クロージングまで持っていける稼ぐ仕組みが回り出すのです。

あなたのオフィスはお金を生み出すようになっていますか?
あなたにはその方策がありますか?