“稼ぐオフィス”は
営業力を仕組みで回して活性化し、
“稼がないオフィス”は
人的資源で回して消耗させる
第9回は<どんな人が内勤営業に向くのか>を考察します。
内勤社員を営業化することは“稼ぐ営業オフィス”に欠かせない要素です。
では、果たして外回りの営業マンが獲得する収益以外の、自社オフィスから営業力を上げる仕組みにするためには、どんな人を選んだら良いのでしょうか。向き不向きがあるのでしょうか。営業としてどんな能力が必要なのでしょうか?この辺りに焦点を当てます。
営業の仕事で真っ先に浮かぶのは接客(顧客対応)です。
今まで他部署で働いていた社員を割り当てようとする場合、本当に彼(彼女)に営業の仕事が務まるだろうか?と不安になるかもしれません。
“稼がないオフィス”で働く営業部では、当然の不安材料ですが、“稼ぐ営業オフィス”では心配無用です。仕組みで回るようにするからです。
まず、一般的に言われる、営業マンに向く人、向かない人について考えましょう。
向くと言われる人は、「明るい人、笑顔の素敵な人、背の高い人、姿の良い人、手指のセクシーな人」といった見た目の好印象な人。「数字に強い人、したたかな人」といった策士。「愛嬌のある人、可愛げのある人」のように、お客様受けの良い人。その他「清潔感のある人、誠実な人、正直な人、時間を守る人、・・・」が候補にあがります。
向かない人とは、向く人の特徴の逆の人ということになるでしょう。
持って生まれたその人特有の、その人にしかない特性、性格、容姿、姿かたちに左右されます。
入社させようと面接するときにも、見た目や受け答え、態度といった基準で判断されるでしょう。でも、営業部に配属してみると、皆が売れる営業マンになれる訳ではないことは事実です。
何故でしょう?
人は皆、一長一短を持っているからです。
生まれつきの性格や得手不得手、損得勘定に支配されている人々は多種多様です。ロボットのように均一ではありません。
そうであるが故、見た目の好印象な人は、新規開拓や引継ぎ挨拶の時に実力を発揮しますが、クロージングが下手かもしれません。
策士である、数字の強い人は、取っ付き難いため、ガードの堅い見込み客を堕とすのに、苦労するかもしれません。
お客様受けの良い人も、かわいがられるのは、若いうちだけの期間限定です。
(30代の顧客担当者は、50代のおっさんを可愛がってはくれません。)
このように考えると、生まれ持った特性からは、すべてが良いとは言えません。返って、後に培ったことや、改善すれば誰にでも身に着けられる特質の方が勝っています。
今の例でも、「清潔感のある人、誠実な人、正直な人、時間を守る人」などは、心掛け次第で変わることのできるものです。本当の意味でのコミュニケーション、コラボレーションをしようとしたら、まず欠かせない能力です。営業部以外の部署の社員にこのような特質を培える人がいることでしょう。
次に営業部の実態を見てみましょう。
営業部の中では売上げランキングがあります。そして、売れる人、売れない人、そこそこの人に分かれます。法則として上位2:中位6:下位2に近い割合が言われています。
そうであれば、社員の誰が割り当てられてもそれほど変わりませんね。また、このような営業部の強化を図る場合、「売れる2割の人に、もっと売るように発破をかける」「売れない2割の人に、セミナー受講させて、売れるように仕向ける」「そこそこの人に、伸びてもらえれば一番割合が大きいので期待する」といった策が取られます。
でも果たしてこの方法で本当に底上げできますか?
短期的に見れば、多少の効果はあるでしょう。しかし長期的に見た場合、最初よりも悪くなる可能性を秘めています。なぜなら、上位2割の人が疲弊すること、下位2割の人と、そこそこの人達が嫌気が差してやる気をなくすことが起こるからです。
つまり営業部全体の士気の低下、それに伴う営業力の源泉である、企画力や提案力を消耗させるという、弊害を引き起こすのです。どうしてでしょう?
生来の人的要素に頼り過ぎ、ムチ打って、時間と労力を強いるからです。
営業員たちに、ある程度までは負荷をかけても有効に作用しますが、度を越した時に爆発します。何も考えたくなくなるのです。こんなことが起こらないようにするには、どうしたら良いでしょうか?
営業部が元々ある会社と、営業部のない会社とでは、対処方法は異なりますが、根本の考え方は同じです。能力差に左右されない、個人に無理を強いない、“稼ぐ営業オフィス”の仕組みをまわすのです。
外回りの営業マンにも得意分野があります。
「新規開拓」と「ルートセールス」です。
しかし、せっかく開拓し、通い続けた会社も、時の経過とともに目減りしていきます。
それを補うために、「新規開拓」によって増やしていこう、というのが常套の経営判断です。
しかし本当に開拓し続ければ良いのでしょうか?
古くから浮気をせずにお付き合いしてくださっている優良既存顧客はいませんか?
その会社はなぜあなたの会社とお付き合いし続けてくれているのでしょうか?
属人的なつながりですか?
それではいずれその顧客も離れていくでしょう。
優良既存顧客が、あなたの会社とお付き合いし続けて下さるのは、あなたの会社にある魅力、付き合うメリットがあるからに他なりません。そうであれば、これからも継続取引をするための手立てを真剣に考慮し、自社の強みに磨きをかけ続けなければならないことは自明の理です。
このような顧客視点で経営を考えた場合、営業マン頼りにできますか?
ヒューレッドパッカードの共同創業者(デビッド・パッカード氏)が、「マーケティングはマーケティング部に任せるには重要すぎる」と言っていますが、営業もまた同じです。「営業部に任せるには重要すぎる。(他の社員も最重要事項として考えなければならない!)」
そうです、担当者任せの属人的営業ではなく、担当会社の一社員として顧客に向き合わせるようにするのです。
センスのある営業マンは、顧客に喜ばれる仕方で売ります。
これをセンスある担当会社として、顧客に喜ばれる仕方で売れるように変革するのです。
この機能をオフィスに散りばめて、自社に呼び込み商談します。売上を伸ばすことに躍起になって、目先の販売活動を頑張るのではなく、結果的に売り上げが伸びる仕掛け、頑張らずともクロージングまで持っていける仕組みをオフィスに仕込むのです。その為に内勤者から営業化できる社員を選出します。
あなたの会社には眠っている内勤営業社員候補者はいますか?
あなたの社員を仕組みで営業化できますか?