“稼ぐオフィス”は
全ての人材に業務を分散させ、
“稼がないオフィス”は
一握りの人材に業務を集中させる
今回は、<情報処理を迅速に行うために大切なこと>について考察します。
情報化社会と言われて半世紀近くが経ちました。IOTやAI,RPAなど、様々な言葉に翻弄される昨今です。
人体で表すなら「脳」に当たる、コンピュータ処理能力ですが、これから先もうまく使いこなして、ビジネスや生活に取り入れていくことが求められています。
シンギュラリティ(技術的特異点)の訪れが2045年(一説には2029年には追い付くかもしれないと言われています)。人工知能は人を超えることができるか期待されています。
でもちょっと気になることもあります。コンピュータがクリエイティブな人の代替になるのか?本当に機械に仕事を奪わてしまうのかという懸念です。
私の持論では、あと100年経っても、そんな時代は来ないでしょう!
人の「脳」は、素晴らしく設計されています。
人体の各器官への信号から、病気の予防機能、外敵からの防御機能、侵入したウイルスへの攻撃機能、脳内における薬物生成機能といった自衛に関する事柄。
他者への愛情に代表される、心、思い、良心といった感情に関する事柄。
自由意思のあることも、特筆すべき事柄です。
動物には本能があり、その働き故に生活をしますが、人の営みは遥に優れています。自制をしたり、忍耐をする制御と、逆に挑戦したり、枠から飛び出したり、冒険したりと本能とは別に、自由に選択をする事ができるのです。
これらは何物にも勝るものです。このような働きをコンピュータに真似させようとしても、絶対に越えることは不可能です。学習機能をいくら強化したところで、ミドリムシにも到達しないでしょう。
このように素晴らしい人の脳ですが、不得手の分野があります。
それはマルチタスクを処理することです。
ビジネス社会が求める理想は、スーパーサラリーマンのようなマルチタスク人間です。
計画を立て、その超過密スケジュールを機械のように片づけていきます。一部の秀でた人はマルチタスク人間として活躍していますが、一般的にはこなせません。これを無理やりこなそうとすると、脳が疲れるのです。
では、マルチタスクを熟すことのできない人は、AIにとって代わられますか?
いいえ、シングルタスクを数多くこなせば、最終的に追いつきます。確かに時間はかかりますが、確実に一つひとつを片付けていくことができます。
ミヒャエル・エンデ作の「モモ」に出てくる道路掃除夫ベッポおじさんは、道路の掃除をゆっくりと、でも着実にやります。
『ひとあしすすんではひと呼吸し、ひと呼吸ついては、ほうきでひとはきします。ひとあしーひと呼吸ーひとはき・・・「いちどに道路ぜんぶのことを考えてはいかん。つぎの一歩のことだけ、つぎのひと呼吸のことだけ、つぎのひとはきのことだけを考えるんだ。いつもただつぎのことだけをな」「するとたのしくなってくる。これがだいじなんだな、たのしければ、仕事がうまくはかどる。・・・ひょっと気が付いたときには、一歩一歩すすんできた道路がぜんぶ終わっとる。どうやってやりとげたかは、自分でもわからん。これが大事なんだ」』
彼は、いつも目の前の掃除をコツコツ行っていました。一日の作業が終わり、後ろを振り向くと、確実にきれいになった道が続きます。ここに、一度に沢山のことを行うのではなく、目の前の仕事をひとつひとつ確実に片づけることの大切さを見ることができます。
あなたの社員達の、今の働く場はどうでしょう?
彼らは、山のような仕事を抱え、一日の終わりには満足感よりも、疲労感が募り、気晴らしに酒を飲んだり、ギャンブルをしたり、ゲームにはまったりして、プライベートを過ごします。
翌朝、疲れを引きずったまま出社して、昨日の延長の仕事をします。また、一握りの有能な社員に仕事を押し付け、押し付けられた人材は、過剰労働故に疲弊しています。
なんともったいない能力の使い方をしているのでしょう!
彼らの優秀な頭脳と、それを引き出し、まとめる役が噛み合えば、質の良い仕事を生み出すことができます。働く時間を短く、人員や労力を増やさずに、事業継続できるはずです。
一握りの優秀社員に、能力いっぱいに仕事を増やすのではなく、彼らの荷を軽くして、その分を他の社員に分散させて、優秀社員に、質の良い仕事を考え出す時間を与えることが大事ではないでしょうか?
そのためには、業務を見直して、やること、やめることを大分類することです。
やることを細分化した上で、各人の得意分野ごとに割り振ります。一度に、全員で、それぞれのタスクを片付けさせ、それを合わせて加工することで、マルチタスク同様の効果を引き出せます。
また、一人ひとりの負担が減り、結果的に質の良い仕事が迅速に片付けられます。このような混成部隊をつくり、目の前の仕事をひとつひとつ確実に片づけることは、一日の終わりに、後ろを振り返った時の満足のいく仕事になることでしょう。
あなたが考える、情報処理を効率よく迅速に行う方法とはどういうものでしょうか?
この点で大切なこととは、仕事の中身をもう一度吟味して、再構築することです。簡単に言うと、
「省く・捨てる・入れない」ことだと言えるでしょう。
1、尾ひれのように付いている余分な作業を省き、重要な作業を確実に終わらせる。
2、やめても本業に支障をきたさない作業を捨て、最優先させるべき仕事に集中させる。
3、これ以上余計な情報を入れず、ひとつの事を、深く広く、長く遠く考える社員を育てる。
こうした吟味や再構築することは、これからの不確かな時代にも求められるものです。
他社の収集する内容と似たり寄ったりの情報をネットで検索したり、高いお金を払ってまで他と同じような情報を買うよりも、社員達の優秀な脳を最大限使って、「一事に集中」させます。
そして、企画脳を働かせて、アイデアから売りものにする工程や、沢山のシングルタスクを束ねてカタチにできるように、オフィス機能をダイナミックに配置します。
これこそ他社には決して真似できない、「最強人財が働く“稼ぐオフィス”の仕組み」です。
大切なことは、人の脳みその働きを考え、マルチタスクからシングルタスクへ移行することです。
一握りの人材に業務を集中させるのではなく、全ての人材に業務を分散させて、複雑な案件をシングルタスクにして皆で行うことです。そうすれば、マルチタスクを行ったのと同様の結果を得られ、強いてはそれが迅速さにつながると私は考えます。
前回のコラムで、コミュニケーションについて書きましたが、この「仕組み化されたオフィスで働く最強人財が、自分の頭で考え出したこと」を「皆でカタチにする場」こそが、オフィス機能で重要なものです。
それぞれの脳で考えたことから、ぶつけ合い、発展させ、カタチにするのに最適な場を設けることが、“稼ぐオフィス”には必要なのです。
あなたは、情報処理を迅速に行うために、シングルタスクに移行させられますか?
最強人財が働く“稼ぐオフィス”の仕組みから、儲かる場をつくりますか?