第21回<稼ぐ営業オフィス 戦略1>振り返り

“稼ぐオフィス”は、
「城下町式オフィス化戦略」で取引先を一気に増やす、

“稼がないオフィス”は、
今まで通りのオフィスで満足する

今回は、<稼ぐ営業オフィス 戦略1>を再考します。

 第1回から第10回までの振り返りになります。取引先を一気に増やす、「城下町式オフィス化戦略」とはどのような考え方か、今一度確認してみます。

 第1回では、「“稼ぐオフィス”は経営者が創ることが重要であること」を強調しました。

 それには寺崎式オフィスメソッドを使った戦略で、オフィスを変革をすることが重要です。

現状の無駄を省き、有用な機能にだけお金をかける判断は、経営者でないとできません。経営者ご自身が、オフィスに何を仕掛け、どんな仕組みで回してゆくか、と「儲ける意図」を持って取り組まなければ決してできないことと論じました。

 ただでさえご多用の身で、オフィス構築まで熟考するとなると、時間が足りないと感じられることでしょう。しかしこのプロセスを重要視して、プロジェクト発足よりも前に戦略的に方針をまとめ上げ、事前準備をしておくことができれば、本当に求めていた良いオフィス、顧客を喜ばせ、取引先が訪問したくなる―「稼ぐオフィス」が生み出せるのです。

 第2回では、「“稼ぐオフィス”には社長の意図的施策が必要であること」を論じました。

 今の時代は、「一緒に商談を創るパートナーとして、お客様に頼りにされ、自社に来てもらえるような、魅力的なオフィスの在り方」が求められています。

 ですから、あなた自身が意図した通りに計画して戦略を練り、社員に創らせることが必要だと述べました。

 城下町がそうであったように城主(社長)が意図して、役割りを明確にするのです。

 「なぜオフィスが存在するのか」、から問い直し、最重要機能にあてる設備の必要性を吟味します。そこで何を行っていけば収益につながるのかが明確になれば、どんな仕組みで、社員の発想力を引き出して、稼いだら良いかがはっきりします。そうすることによって、なんとしても、あなた自身が意図した通りに創り上げるのです。

 第3回では、「“稼ぐオフィス”は仕組みでまわっている」ことを論じました。

 どの様な仕組みか、それがセールスオフィスでした。
 通常の業務に、仕組みを取り入れることで、プラスαの利益を生むオフィスづくりです。

 その「仕組みの枠」で働く社員がやる気になれる環境を整えることです。「働き方を改革させる」のではなく、「働かせ方を改革する」というものです。

「会社のためにクリエイティブをするのは経営者であり、その補佐として作業をこなしてくれるのが社員である」という考え方です。

 オフィス変革とは、社員の「働き方」に焦点を当てた快適性のあるオフィスづくりではありません。視点を変えて、顧客や取引先中心のオフィスづくりを考えること。

 社員の快適性を第一に考えるのではなく、取引先の利益を第一に考えて、お互いに、より儲かる仕組みを採用するのです。その「仕組みの枠」で社員の「働かせ方」を変えるのです

 第4回では、他社を真似ることなく、「“稼ぐオフィス”は城下町を模倣してつくる」です。

 町はどんな場所においても、だれかの意図でつくられています。

 経営者が戦略的にオフィスを考えるなら、城下町を意図した武将のように創る必要があります。彼らは町をつくるために人々を強制的に連れてきました。オフィスづくりもその点、経営者が半ば強制的に創ることが肝要です。

 変化に対応できるオフィスづくりは、他社の真似からは生み出せません。そうではなく、城下町のように、「迎え入れて攻める」ような先人の成功例からの教訓を得るのです。現在まで生き延びた城下町の仕組みや仕掛けは学ぶことが多い教材です

 第5回「“稼ぐオフィス”には、稼ぐ仕組みと仕掛けがある」で、城や城下町の具体的な仕組みや仕掛けについて考察しました。

 優れた経営者には、稼ぐための仕組みが必要です。その時代に合った仕組みづくりをしようと考える賢い経営者なら“稼ぐオフィス”への近道を選択するでしょう。

 江戸時代はかつての戦乱の時代から、平和な時代に変化しました。家康は、それまでの徹底抗戦の城からシフトチェンジし、むだを省いたシンプルかつ合理的な城を築きます。城の構造に基準を設け、同一構造にすることで誰でも使いこなせるようにしたのです。

 「会議」は、全社員の持つ知恵を出させる場です。また、営業社員が外部で得た情報の共有の場です。

 オフィスは、これらを結集させ、売上げを向上させる仕掛けをして、顧客のための提案に加工する場です。

 このように、むだを省いたシンプルかつ合理的な会合で、誰でも使いこなせるように、自由に意見を言い合い、情報交換・変換・加工することで、社員たちの考える、効果的な仕掛けを最大限引き出すことが可能になります。 

第6回では、「“稼ぐオフィス”には一流の心掛けがある」ことでした。

 寺崎は、一流企業の定義として、「顧客へのおもてなしを原則と考え行動する企業」だと考えています。「一流の心掛け」とは、「挨拶、掃除、整理整頓」と清潔であることを習慣にしているということです

 では、一流のオフィスとはどのようなものでしょうか。これはすなわち“稼ぐオフィス”と同義です。そこには芯になる「原則」で回す仕組みがあるので、いつでもブレることなく顧客をもてなすことができるのです。

 オフィスへの意識として、必要な機能にはお金をかけて、知恵を絞って運営をしている。清潔感があり、整理整頓され、人を招く仕組みがあり、働く人がイキイキした雰囲気がある。一流の考えを持った優良企業との交流により、取引先にも利益を提供できるサービスの本質がある。といった「一流の心掛け」をする人々が働く場です。

第7回では、「“稼ぐオフィス”には心に働きかける方針がある」こと。

 賢い経営者は半ば強制的に組織を形づくることが肝要です。
上場企業ではコンプライアンスの問題もありますが、中小企業でしかも創業者であれば、責任独裁で結構ではないですか。

 決して人のせいにはせず、ご自身で決断し、皆に表明して、経営責任をとる覚悟を持っている。こういう経営者がする独裁は社員たちの心に訴えます。そして、やる気のある社員はついてきます。

 優れた経営者が明確なビジョンと経営目標を立てて、それを完遂するために、強力な組織を構築します。強い組織力を持った企業は、その目的に沿ったオフィスを創ります。

 そのために、オフィス方針が必須になるのです。そして、オフィス方針を、組織力を最大限活かした“稼ぐオフィス”として設計した最適空間を実現し、やる気のある組織で稼ぐオフィスが動き出します

第8回では、「“稼ぐオフィス”は一致してコミュニケーションをとり、コラボレーションして、提案力を発揮するための機動力がある」お話でした。

最善策は、社員達に「一致した共通の目標」を与えることです

 個人的な趣味の違いや好みの違いはありますが、仕事をしに会社に来ているわけです。これは共通しています。ここに働きかけて、共通で一致した利害のある取引先に目を向けさせるのです。

 つまり、社内ではなく社外に目を向けさせるのです。すると、そのことにおいては仕事とみなしますので、一致しやすくなります。これが第一です。

 そして第二に、定期性を持たせます。よく「NO残業Day」とか「新規開拓Day」などとやっていますが同じようにします。強制的に習慣づけることによって、コミュニケーションを活発化させるのです。

 第三は、コラボレーションしたいと考える、取引先を自社に呼び込むのです。通常の営業は、営業マンが客先へ出向き商談しますが、そうではなく自社に呼んで商談するのです。

 事前の準備にはテクニックが必要ですが、提案力が向上する良い方法です。スポーツでも、アウェイではなくホームの方が、本領発揮するのと同じです。

 是非ともその取引先とコラボレーションしたい内容をオフィス内に仕掛けてみて下さい。一致してコミュニケーションした社員たちが、取引先を待ち構えてトリコにする戦略です。

第9回では、「“稼ぐオフィス”は営業力を仕組みで回して活性化する」で、内勤営業に向く社員を、どの様にオフィスに仕込むのかを考慮しました。

 営業部が元々ある会社と、営業部のない会社とでは、対処方法は異なりますが、根本の考え方は同じです。内勤者から営業化できる社員を選出します。

 大切なのは、能力差に左右されず、個人に無理を強いない、仕組みをまわすことです

 担当者任せの属人的営業ではなく、担当会社の一社員として顧客に向き合わせるようにするのです。センスのある営業マンは、顧客に喜ばれる仕方で売ります。

 これをセンスある担当会社として、顧客に喜ばれる仕方で売れるように変革するのです。この機能をオフィスに散りばめて、自社に呼び込み商談します。

 売上を伸ばすことに躍起になって、目先の販売活動を頑張るのではなく、結果的に売り上げが伸びる仕掛け、頑張らずともクロージングまで持っていける仕組みをオフィスに仕込むのです

そして第10回、「“稼ぐオフィス”は将来利益をたたき出す」が、お金を生み出すオフィスとはどのようなものかを考えるものでした。

 今までの延長線上で考えずに、根底から変える、“稼ぐ営業オフィス”に仕組み化した場合、オフィスから生み出す売上げを積み増すことが可能になります。

 外回りの営業から得られる売上額以外に、プラスして自社オフィスに取引先を呼び込んで、商談する案件を創り出せばよいのです。

 そして、この商談を確実に受注に結び付けることをオフィスに仕掛けます。これらを仕組化するメリットのひとつは、自社でコントロールできることです。

 外回りの営業マンは、出先で商談するとき、難題が発生すると持ち帰りが発生したり、持っている決裁権で判断できないことも起きて、なかなかクロージングできないことがあります。

 しかし、自社オフィスであれば、スケジュール調整や人員配置、クロージングへ向けた、説明も説得も各段に向上するのです。

 この仕組みをオフィスに仕掛けるのが「城下町式オフィス化戦略」のメソッドなのです。

 このような“稼ぐ営業オフィス”を望む意欲的な経営者は自ら行動します。

 スピード感覚を持つ経営者は、最速で導入できるようにコンサルタントを使い、考え方と仕組みを仕入れます。

「城下町の何を模倣し、オフィス機能の何と連動させ、本業の売上げをどうやって向上させるのか」というノウハウを、体系化しているのは専門家以外にいません。

 そして、知恵ある経営者は、重要なオフィス戦略である「方針書」という、目に見えるカタチを創り出し、選抜した社員たちと戦術を練ります。

 これに基づいたオフィス計画を、他の社員も交えて戦闘方法にまで落とし込みます。

 そのようにするなら、後はこれを形にしてくれる、不動産仲介会社や、オフィス環境改善業者に依頼して、実行するのみです

 出来上がったオフィスには、自社独自の数々の仕掛けが散りばめられ、他社を巻き込んで商談し、クロージングまで持っていける稼ぐ仕組みが回り出すのです。

あなたはこの戦略を実行されますか?
それとも今まで通りで満足されますか?