第23回<稼ぐ営業オフィス 戦略3>振り返り

“稼ぐオフィス”は、
「全社営業化戦略」で取引先をトリコにする、

“稼がないオフィス”は、
「自社贔屓」で取引先に逃げられる

今回は、第16回から第20回を振り返ります。「全社営業化戦略」についての考察です。

 優良取引先を自社のファンに固定するためには、自社の宣伝ばかりせず、取引先のために、圧倒的なアイデアを提供し続けることが大事であることの確認です。

 全社員と社外の叡智を結集して、“稼ぐ営業オフィス”を継続させるには戦略3が要になります。

 第16回では、「“稼ぐオフィス”には、時間内で終了させる仕組みがある」を考えました。

 長時間残業を減らし労働生産性を高めることが急務となっています。私が主張するのは、

「原則を定め、社風とともに、働かせ方を変える仕組みをつくることが出来るかどうかが、長時間労働させずに儲けを出す鍵である」ということです。

 そして、経営者であるあなたが、仕組みによって改めた「働かせ方」をオフィスに取り入れることが、社外からは見えない独自の仕組みになることを述べました。

 他社の真似事の、表面上の規則をいくら変えても、根本原因を取り除くことをしない限り,改善は見込めません。また、元気な社員達が働ける、知的創造の空間づくりをすることも寄与します。

 社員に長時間労働を強いたりせず、仕組みで回るようにすれば、“稼ぐオフィス”になって、社員達の心の平安と生産性を高める事ができます。

 そもそも儲かっていない会社が長時間労働を強いるのであって、儲かる会社になれば、問題のほとんどは解決出来てしまいます。

 こうすることによって、長時間残業を減らし、時間内で終了させる仕組みで、労働生産性を高めていきましょう。

 第17回は、「“稼ぐオフィス”は、やるべきことに集中させる環境を整えている」でした。 

 利益を増やすために一番重要なことは、企画力を持った「人々の働き」を最大限活かして、仕組みが回り続けるように仕組むことだと述べました。

「人々の働き」を最大限活かすためにやるべきこととは、正確に現状把握して、これからやろうとしている仕事に集中できるよう、それ以外のいらない事柄は何か、という問題点を洗い出し、それら全てを一切やめることです。

 良い企画はシンプルで、「捨てる力」も含まれるからです。そして、やるべきことに集中させる環境を整えて、社員たちがやるべきことを、当然のごとく日々行えるように仕向けることです。

 やるべきことを決定するだけでも、コストを下げて利益を増やすことができます。また、売れる商品をもっと売れるように改良することによっても販売数を伸ばし、利益を増やせます。

 このような仕組みをオフィスに取り入れて、やるべきことに集中させる環境を整えることで、企画力を持つ「人々の働き」を最大限活かした、“稼ぐオフィス”にすることができるのです。

 第18回では、「“稼ぐオフィス”は、よい習慣と適度な緊張感を仕掛ける」と述べました。

 “稼ぐオフィス”にするために、「適材適所」の組織づくりは大切です。しかし、“稼ぐオフィス”の考えでは一般論と違い、

 適材とは、「会社員としてふさわしい人、経営者が意図していることを素直に実行してくれる人」つまり、野心を抱かずに、経営者の意図を実現する人です。

 適所に配置するとは、内勤営業化するのに適した人に、「接客」という刺激的な経験を積ませることです。

 見えないお客様相手ではなく、お客様と接する機会が多くなると、「他人事を、自分ごととして考える、良い習慣」が身につきます

「よい習慣を培う」ために、環境の問題も重要です。劣悪な環境でいい仕事が出来るはずはないからです。ただ、メリハリが必要です。互いに刺激し合うためには、ぬるま湯に浸かった状態ではだめなのです。

 適度な緊張感を持たせる仕掛けをするためには、少し負荷をかけることです。100%の快適性を追求するのではなく、サウナと水風呂を行き来するような、肌や血行を良くする工夫をオフィスに仕掛けることによって、意図的にメリハリをつけて、良い習慣とともに「適度な緊張感を感じさせる」ことも、取引先を喜ばせる企画づくりに貢献します

 第19回は、「“稼ぐオフィス”は、より多くを得るために、やめるべきことを決めている」という話でした。

 第17回「“稼ぐオフィス”は、やるべきことに集中させる環境を整えている」の裏返しでもありますが、最適化するためには、やめるべきことを決めるも重要です。

 何かを得るためには、何かを捨てなければなりません。より多くのことを捨てれば、時間と労力をより多く得ることになります

 一点集中で、あとはバッサリ切り捨ててやるべきことに集中できるように最適化します。最適化するために、省力便利性を追求ます。

 いつでもだれでもが、使いたいときに必要なだけ、利用できる設備や備品を揃えます。日頃から整理整頓をして、道具の手入れを怠らず、在庫管理を徹底します。

これを行うために必要なこととして、個人の心掛けが関係します。

「自分が使う立場ならこうして欲しい」という思いをもって備品を大事に扱います。このような日頃からの心掛けが、顧客や取引先を想う「自分ごと」として考えられる資質を生みます

 取引先に喜ばれる提案を企画していくためにやるべきことに集中し、時間と労力をそこにつぎ込むために、やめるべきことを決めるのです。

 第20回は、「“稼ぐオフィス”は、顧客との共創と課題抽出に適した場がある」でした。

 “稼ぐ営業オフィス”をつくるには、本質的な課題の見極めと、価値観に共感し、協働できるパートナーを自社に呼び込んで、共創することが重要です

 目に見える事実とは違い、見えない部分にこそ真実が隠されているものです。この見えない部分を見つけるには、内部だけではなく外部の視点が必要です。

 寺崎のコンサルティングの中に、「稼ぐための5K」、「アイデア出し3つのポイント」、「独自の強みづくり5つの視点」といったワークがありますが、社外の視点で、見方を大きく変えて、本質的な課題を発見するための考え方です。

 そして、パートナーを招待できるオフィスづくりをします。互いの課題を抽出し、価値観を共有する場として、「社内外の知恵を導き出す場」「商談を共創するための場」を仕掛けます。

 これこそ、「儲かる仕組み」のある最適空間です。

 “稼がないオフィス”は、「自社贔屓」です。何でも内作して、「きっとこれが売れるだろう」と独りよがりなマーケティングをしています。「相手のして欲しいこと」にフォーカスしていません。これではそのうち取引先に逃げられるでしょう。

 第19回で、「取引先に喜ばれる提案を企画していくためにやるべきことに集中し、時間と労力をそこにつぎ込むこと」を述べましたが、そのためには、

“改善”にとどまらず“変革”まで行うことが重要です。

 これを「全社営業化」まで“変革”することで、取引先をトリコにする“稼ぐ営業オフィス”になるのです

  あなたは、戦略3を用いて、社内外の叡智を結集し「全社営業化」に取り組みますか?

   優良取引先を自社のファンにして、圧倒的なアイデアを提供し続けることができますか?