“稼ぐオフィス”は、
信頼できるパートナーを決めている、
“稼がないオフィス”は、
実行段階になってもこころが揺れ動く
今回は<パートナー選びのポイント>についてです。
オフィスの改装・移転の計画をするとき、まず最初に「オフィス戦略方針書」を経営者が定めるということは何度も述べてきましたが、では、実行はどのようにするのでしょうか?
オフィス戦略を、間違いなく設計施工して、プロジェクトを完遂するために、信頼できるパートナーを選びます。
候補には、不動産仲介会社を始め、各種工事会社(内装、電気、電話、LAN、ネットワーク、空調、衛生、音響、映像・・・etc。)、設計、デザイン、家具メーカーとその代理店、プロジェクトマネジメント会社などがあります。
この多岐にわたる施工の段取りを、自社でのみ行うことには限界があります。
何かのプロになるために必要な時間として、よく1万時間の法則がいわれます。1万時間に達するには、オフィス移転にかかわる仕事でいうと5年程度です。
ですから、やはり「餅は餅屋」。その筋の専門家に手伝ってもらうことが得策といえます。しかし、だからといって、丸投げしてしまっては、あなたの意図した独自オフィスはつくれません。
協力する側も、せっかくなら、「あなたに頼んでよかった」といっていただける仕事を提供したいと望んでいます。
では、どんなパートナーを選んだらよいでしょう?
一般的に、あなたの会社が改装・移転を実行に移そうとするときに、なぜか“売り込み”が殺到します。
どこで聞きつけたのか、「レイアウト変更のお手伝いができます」「もしもご移転をお考えであるなら、弊社がお手伝いをします」など、普段は来社しない業種の営業マンが押し寄せます。
そんなとき、あなたはどのように対処していますか?
一応、会って話を聞いたり、プランを比較してみようとか、見積もりだけは参加させようとかしているうちに、5社も10社も、となっていませんか?
改装・移転では、「提案力、プラン比較、見積金額の安さ」ではなく、「誰と組むか」が重要であると考えます。
パートナー選定の良し悪しは、「提案力がある会社だ」、「プランはこっちのがいい」、「金額が予算内だ」ではなく、“稼ぐオフィス”をつくるというあなたの戦略を、いかに効率よく実現してくれるのかが、パートナー選定のポイントになります。
プロジェクトをまとめる業者についてはどうですか?必要を感じますか?
いいえ、まとめ役は、あなたの選抜した社員にさせるべきです。お金をかけて一大イベントを打つのですから、その大舞台でリーダーシップを発揮させる良い機会です。
多少の失敗があっても、自社のことですから大勢に影響があるほどではありません。思いっきり判断させて裁量を発揮する挑戦をさせるようにしてください。
では、各業者をまとめる役についてはどうですか?
はい、まとめ役(通訳)がいた方がうまくいきます。
“稼ぐオフィス”では、目先の自社利益の追求をせずに、あなたの会社と長期的に良い関係を築こうと考える、優良取引先を選びます。
あなたが実現しようと思っている内容を、各業者へ翻訳してくれるパートナーとして、担当社員とタッグを組ませます。
例えるなら、主治医のようなものといえます。あなたの既往歴を知っていて、それに基づいてアドバイスをしてくれます。「チェック機能」を使って、対症療法だけではなく、予防医療にも力を貸してくれたり、必要があれば、他院への紹介状も書いてくれるでしょう。
同じように、あなたの会社に出入りしている業者さんは、既往歴を知っていて、それに基づくアドバイスが可能でしょう。普段から接しているため、社員よりもあなたの会社の良い点を熟知している場合もあります。
彼らに「チェック機能」をもたせて、プロジェクトをまとめる社員の相談役として任命します。「この計画は実行可能なのか?」「計画のために必要な工事はなにか?」「この工事でやってほしいことはなにか?」これらを、プロジェクト担当社員が相談できる、パートナーとして選ぶことです。
「オフィス戦略方針書」で「このようにする」とさえ決めておけば、あとは、社員とパートナーが粛々と行うだけです。それも、社員主導で指示するわけですから、極端にいえば、実行する工事会社は、技術さえ持っていれば、「町場の○○屋のおやじさん」でも良いのです。
彼らにやってもらう工事内容を明確にして、その指示を正確に伝える各業者のまとめ役としての通訳が必要になるのです。
しかし、あくまでも通訳、相談役です。
“稼がないオフィス”は、ここを誤解して、プロジェクトを丸投げしてしまいます。
“稼ぐオフィス”をつくる意志が経営者に無いので、飛び込んできた新規取引先と、総務担当者などから上がってきた提案から、「提案力がある会社だ」、「プランはこっちのがいい」、「金額が予算内だ」と、その時の感覚に心が揺れてしまい、安い金額で請け負ってくれそうな業者をアドバイザーにします。
そして、彼らが薦める”きれいなオフィス”をつくるための策にはまります。その会社は、短期的な自社利益追求のために、その場限りの提案(華美な受付周りの内装等)を、さも「御社のため」のように粉飾します。
例えるなら、総合病院の若い医者のようなものといえます。既往歴は知りません。カルテ(現状)に基づいて、「ここを改善しましょう!」とアドバイスをしてくれます。自分の手に負えないかもしれないと思っても、メンツもあるので、自分で解決しようとするかもしれません。
インフルエンザの予防接種ならいざ知らず、オフィスの診断を任せるには、あなたの会社を知らなさすぎる、頼りないアドバイザーです。
担当社員が上手に伝達できれば、それなりに各業者へ翻訳してくれるかもしれませんが、「方針書」もない状況で、果たしてあなたの方針を反映できるでしょうか?やはり不安があるのではないでしょうか?
いざ計画が始動したなら、脇見運転は事故のもとです!日頃から「主治医」候補を探しておき、実行段階で社員に引き合わせて、彼らを併走させることです。
そのようにパートナーを選ぶことによって、あなたの意図した計画が、“稼ぐオフィス”についても、選抜社員の育成についても、現実のものとしてカタチになるのです。
あなたは、長期的視野でお付き合いできる、信頼のおけるパートナーを持っていますか?
それとも、その場限りの商売しか考えない、アドバイザーに狙われていますか?